一日一冊
哲学、宗教、軍事、計算機などに関する書籍を毎日一冊ずつ紹介してゆくサイトです。

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心は実験できるか―20世紀心理学実験物語
2008.3.5 / 心理学、実験の歴史、「ドサッ、と音がするんです、とにかく」

題名のとおり、心理学の実験の歴史をエピソード主体でまとめた本。
個々の話は面白く、心という未知の領域においてはたして「実験」がどこまで真実を突き詰められるのかという着眼点は面白いのだけれど、それ以上の掘り下げが物足りない。テーマを一貫させて仮説と結論をまとめあげるというプロセスが欠けている。また、著者の妙に感傷的な筆致もよくわからない。
読んでいて楽しい本だけれど、優先度は低いと思う。

PANZERTALES WORLD TANK MUSEUM illustrated―ワールドタンクミュージアム図鑑
2008.3.4 / 軍事、戦車、WTM、「こうなるともう何がなんだかわからない」

最近残念ながらあまり見ないのだけど、ワールドタンクミュージアム(WTM)という食玩が一時期流行りました。ちっこいちっこい戦車のコレクションができるのです。
戦車そのものの出来もさることながら、説明書きがコミカルかつ正確で非常に面白かった。この本はその説明書きを一冊にまとめたもの。
軍ヲタなら必ずニヤニヤできるようなウィットに富んでいる。戦車や戦場に興味の無い人には…どうだろう、それなりに面白いだろうけれど魅力は半減しちゃうよね。やっぱり戦車好きに読んで欲しい一冊。

若い読者のための世界史
2008.3.3 / 歴史、物語としての、アッティラかこいい!

物語調にやさしく語りかける文体で、長いが読みやすい。
もちろん何にしても西洋人の視点からであることは留意しておく必要はあるが、詳しすぎず省略しすぎず世界史をまとまった一冊の本にするという試みは成功していると思う。
高校で世界史やらなかったFでも楽しく読めました。逆に世界史マニアの人には物足りないでしょう。

教養としてのキリスト教
2008.3.2 / 宗教、キリスト教、新書

うーん、薄くて迫力の無い本。キリスト教とは何か、宗教とは何かという点について深く掘り下げた部分がないし、知識としてのキリスト教の紹介も通俗的・表面的。
じゃあより適したキリスト教の入門書を他に紹介してみせよ、と言われると困るのだけれど、少なくともこの本は最適とは言い難い。

白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい
2008.3.1 / 漢字、口は箱でした

白川静先生の本は難しくてさっぱり読んでられないんだけれど、この本は非常に平易。なんでも新聞に連載したものをまとめなおしたんだそうな。
扱う漢字もなじみが深くて、そしてその隠された成り立ちも面白いものばかり。図版も多数。
ただ、サイズに比してちょっと高いかなという気はします。


2008.2.29 / 文学、ホメロス

一大叙事詩、人類の遺産の完結。人間の中に素朴な「英雄」がいたということの証でもある。
一進一退する戦いとその決着、パトロクロスとヘクトルの死が描かれる。
本当はギリシャ語原典で読むのが一番良いんだろうけれど、日本語訳も雰囲気のある美しい文章。

攻防900日〈上〉―包囲されたレニングラード
2008.2.28 / 歴史、軍事、レニングラード包囲、小麦粉が無い、パンをこねる水が無い!

大戦でナチスドイツはソビエトに攻め込みます。モスクワ、レニングラード、スターリングラードの主要三都市めがけて驀進するわけですが、後一歩のところで赤軍が押しとどめます。しかしレニングラードはついにドイツ軍に包囲されてしまします。本土との連絡はラドガ湖のみ。
ここから包囲をしのぐためのギリギリの戦いが始まるわけで、その展開はWWIIにおける第一級のドラマです。ギリギリもギリギリ、底についてもさらに底を掘れ、というかんじのギリギリ。その限界を超えた限界の描写で埋め尽くされ、ロシア人ってすごいなぁと思ってしまいます。
食料の配給がじりじり削られていくのが読んでいて辛い。すごくオススメ。

ベルリン1945
2008.2.27 / 文学、黒パン

「ベルリン三部作」の最終巻。『ベルリン1919』の主人公ヘレの娘エンネの目を通してベルリンの敗戦を描く。
敗戦という時代と国家の「リセット」の中にあって、ナチスと戦争に対してさまざまな立場を取った人々の葛藤のさまが戯画化されている。展開としては多少「甘い」部分もあるように思うが、小説なので絶望のシーンだけでは成り立たないのでやむをえないか。
そして過去二作でさまざまに展開した「揺れ動く希望と絶望」の書き方が秀逸。分厚いが長さを感じさせない。良質の大河ドラマとして、おすすめ。

天文学史 新版
2008.2.26 / 科学、天文学史、グレゴリオ暦より正確な金星歴

古代人の星空との関わり方から最新の宇宙物理学事情までを大急ぎで解説した本。
一般向け啓蒙書ということで、難しい数学・物理の話はほとんど出てこない。
しかしその難しさの匂いぐらいはただよわせてもよかったんじゃないかなぁ、と思ってしまう。なんというか学問としてのリアリティをうまく感じ取れない。難しかったら難しかったでまた文句言うんだろうけどね。

新・C言語入門 シニア編
2008.2.25 / 計算機、C言語、ポインタも大丈夫です

読み返してみたけれど、どの項も丁寧に書いてあって初心者に適。わからなくても何度も読み返せば理解できるようになっている。
シニア編ということで、変数?代入?何それ?なレベルだととっつきにくいけど、プログラミングの初歩の初歩はネットで検索していろいろ調べてみるという気概のある読者ならいきなりこの本を手元に置いて始めても大丈夫だと思う(いや保証の限りではないけれど)。
しかしなんでCってずっと使われるんだろうね。メモリをべったり触れるから?それって本当に必要なことだろうか。いや必要だよな、うん必要なんだけど…避けれるなら避けたいよねぇ。

立ちつくす思想
2008.2.24 / 右の頬を殴られたらすぐ左の頬も殴られる

キリスト教を「脱出」すると銘打つ雑誌『指』に田川建三氏が書いたエッセイをまとめた本。
初版が35年以上前で、「炭坑の反合理化闘争」とか「うちの大学の全共闘は内ゲバもなく」とか、確かに見た目は古いというかピンと来ないのだけれど、原始キリスト教の内側から現代を「撃つ」(著者はこの撃つという言葉を意識的に使っていると思う)という姿勢はどこも古くさくない、2008年現在でもじゅうぶん価値がある。
一点だけ腑に落ちなかったこと。この著者の思想は力強い、というか著者個人の人間はとんでもなく「強い」。強いだけじゃなくて、自分の弱さにも逃げないところがある、そういう強さがある。しかしその著者が、いわゆる一般大衆(この「大衆」という言葉も難しいね)の強さと弱さにはどこか無頓着なところがあるように思う。決して人々の強さと弱さに気付いていないのではないが、現代思想に怜悧なメスを入れるときその要素がぽかんと抜けているような気がするところがあった。
批判めいたことを書いちゃったけれど、いっけんみんな看過してしまう表現の細かいニュアンス、そこに潜む問題に鋭敏に気付いて深くえぐり出す、そして読者に冷水を浴びせかける頑固一徹の書き方は文句なしに面白い。オススメ。
あ、キリスト教の話は実はあまり出てきません。

ファーブル伝
2008.2.23 / 最悪!

どうしたらこんなつまらない本が書けるのか不思議になるぐらいヒドイ本。
文章に意味が無く、事実の羅列ですらなく、本を貫く統一されたテーマも無い。
本当につまらない本。たまにはこんなハズレもあります。

失われた時を求めて〈8 第5篇〉囚われの女
2008.2.22 / 文学、フランソワーズが渋い、ちくま文庫

「囚われの女」とは主人公の許嫁アルベルチーヌのことで、主人公は彼女を肉体的には囚われの女にすることができるが彼女の百合百合な精神は制御することができず嫉妬に苦しむ。
1巻のスワン氏の嫉妬劇がここで主人公においても繰り返される。この重層構造がこの作品の大きな特徴と言えよう。
そしてアルベルチーヌは主人公の元を離れ、物語は次の「逃げ去る女」に続く。

アルジャーノンに花束を
2008.2.21 / 文学、ダニエル・キイス

知的障害を持つ主人公チャーリイ。障害から回復する手術を受けそれに成功するが、異常に亢進した彼の知能が見出した自身の結末は。
「障害者モノ」というとどうしてもお涙頂戴系に走りがちなイメージがあるが本書はそのような雰囲気は無い。
読みやすく、シンプルながら深い印象を残す作品。

ことばのロマンス
2008.2.20 / 英語の語源、岩波文庫の青

英語の単語の語源をこれでもかというほど分析し書き連ねる。言葉には全て理由がある、という単純ながら普段気がつかないことに気付かせてくれる。
さすがに読んで書中の個々の語源を一つずつ覚えるということはできないが、次から次へと繰り出される著者の博識に心を泳がせるといったかんじで、読んでいて楽しい本。
知的遊戯として、知り合いに教えるちょっとしたトリビア元として、オススメです。

Lucy
2008.2.19 / 音楽CD、ポップス、坂本真綾、トンネルを抜けてすぐの♪

ずっと本ばかりというのもアレなので音楽CDも紹介してみます。
Fの親愛せる、まやや様こと坂本真綾のアルバム。透明にして繊細、さすが声色は4.5種類ぐらいあるんじゃないでしょうか。
本を読むときBGMにかけていても疲れない曲ばかりです。

幕末暗殺
2008.2.18 / コミック、歴史、幕末、新撰組、岡田以蔵

幕末は激動の時代だった。しかしどのように激動かと聞かれるとちょっと困るのだけれど、とにかくみんな頭に血が上りまくってどんどん敵対勢力の個人を暗殺してしまうスゴイ時代だった。
本書はそのタイトルどおり、幕末でめったやたらに起こった暗殺事件に焦点を当てて一つずつ描いてゆく。そして暗殺というと本来は凄惨・陰鬱なものなのだが、黒鉄さんのペンにかかればどれも小さなギャグになってしまうのがスゴイ。
黒鉄ヒロシの画風が嫌いでなければオススメ。

リデルハートとリベラルな戦争観
2008.2.17 / 軍事、戦略論、リデルハート、機甲戦術、イギリスの戦い方、間接的アプローチ

軍ヲタならみんな知ってる、非軍ヲタにはピンと来ないリデルハートさん。20世紀最大の戦略家と呼ばれる彼の著作と戦争観をやや批判的に読み解く。
間接的アプローチやビザンツ式戦略といったリデルハートの(どうにもブレる)戦略論を、彼のWWIの経験とクラウゼヴィッツの影響から分析するのが主な内容で、丁寧に読み込んでいる。
クラウゼヴィッツやジョミニ、WWIについての基礎知識を必要とするが、非軍ヲタにもオススメ。値段もお手頃。

機関銃の社会史
2008.2.16 / 軍事、歴史、機関銃、WWI、二乗して二倍してさらに二倍せよ、平凡社ライブラリー

「機関銃」を軸に、人間が時代の変化にどう対応したか、というか実際はなかなか対応できなかったことを書き出す。
機関銃の売り込み、植民地拡大の立役者、WWIにおけるイギリス軍首脳の信じられない無能さ、そしてトンプソンとギャング。
過剰な人間中心主義から機械への考え方の移行という捉え方は的確であると思う。濃い内容を短くまとめてあり、オススメ。

ブッダのことば―スッタニパータ
2008.2.15 / 宗教、仏教、ゴーダマさん

最も古い仏教経典とされる。複雑な教理体系が成立する以前のブッダの言葉。
説かれるフレーズはシンプル、しかし「空」や妄執を離れ執着を捨てるというような核心はちゃんと述べられている。生の「おいしい」仏教。
註も詳細で読んでいて楽しい本。つーかこの中村元さんってすごすぎるよな。

原典訳マハーバーラタ〈1〉
2008.2.14 / 文学、古代インド、叙事詩、クリシュナ、ガルダ、呪われる神々たち

古代インドの大叙事詩。そのスケールは『古事記』やホメロスを凌駕する。
ユングを読むとこういう古代の豊かなイメージを吸収するのが楽しくなる。じっさい、文章は単調なのに物語は非常に美しい。1巻でもっとも感動した美しい節を引用してみます。
「インドラ神よ、あなたの望み通り、私はあなたと友情を結ぶ。私の力は大きく、耐えがたいものであると知りなさい。確かに自己の力を讃えることや、自ら美点を語ることを、善き人は讃えないが、インドラよ、あなたは私の友人であり、あなたに問われたから、友よ、私は語るであろう。というのは、理由なくして、自己を賛美すべきでないから。
山や森や海を含む大地を、そしてそこにぶらさがっているあなたをも、インドラよ、また動不動のものを含む全世界をひっくるめて、私は疲れることなく一本の羽根により支えることができる。私の偉大な力はこのようであると知りなさい。」(276ページ)
日本とは違う時間の流れ方に触れたいときにオススメ。

物語 バルト三国の歴史―エストニア・ラトヴィア・リトアニア
2008.2.13 / 歴史、バルト三国、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、騎士団、ロシア、ゴルバチョフ、ソビエト、中公新書

バルト三国ってーと、HoI2ではファンファン大佐においしく食べられるだけの空気存在、Vicだとこれまたロシア帝国に兵士POPとしてすり潰されるだけ、EU3ではリトアニアはデカイんだけどポーランドに同君連合で従属してるとどうもピンと来ない存在です。
そのバルト地域の変遷を淡々と簡潔にまとめた本で、新書らしく良い本だと思う。キーワードはバルト・ドイツ人と国家権力の真空地帯というらへんでしょうか。
モロトフに最後通牒されて為す術無く飲み込まれてゆくさまは悲惨の一言。

第三帝国の神殿にて〈上〉ナチス軍需相の証言
2008.2.12 / 軍事、歴史、ナチス、装甲車両が足りねぇYO!、中公文庫BIBLIO

ナチスドイツに「党・国家デザインプロデューサー」として登用され、最後は軍需相として手腕を発揮した建築家アルベルト・シュペーアの回顧録。
戦争なんて政治家と官僚のやることだ、そしてそいつらは「文系」だ、俺たち理系・技術者には関係無いね、という理系にありがちな「逃げ」を打ち砕く書。特に巻末のフレーズが冷たくてイイ。
軍需相としてのドイツの台所事情の記述も面白い。オススメです。

キリスト教史〈2〉教父時代
2008.2.11 / 宗教、キリスト教、歴史、iが一つ入るか入らないかの違い

ビザンツ帝国による国教化を経て、キリスト教とローマ文化圏との「絡み合い」を描き出す。アレイオス派・カルケドン派などの異端分派と正統争い、ローマ文化圏の外延への進出、修道院制度の発達。
歴史書としては面白いのだが、いかんせん読み手に神学のそれなりの知識が無いと読んでいて混乱する。いきなり単性説とか単意説とか出されてもねぇ…副読本として簡単な神学辞典が欲しいところ。
視点がやはりどうしても現代カトリックのものであるという点を問題にしなければ楽しい本。

イリアス〈上〉
2008.2.10 / 文学、ホメロス、叙事詩、堅忍不抜、オデュッセウス萌え萌え

ヨーロッパとは何か、ヨーロッパ的なものとは何かということを書物の側面から考えてゆくと、ユダヤ教とホメロスに行き着くのではないかと思う。
これはそのホメロスの二大叙事詩の一つ、トロイ戦争の英雄達を描く大スペクタクル。
人間が人間であることの原点を確認しなおすのに最適の書。ヘパイストスの盾造りのシーンだけでも読む価値がある。

西郷隆盛 (甦る伝記の名著 幕末維新編)
2008.2.9 / 歴史、伝記、西郷隆盛、明治維新、西南戦争

冷静な分析による伝記というより、著者個人の西郷隆盛像をまず先置してそれから史料を読むというかんじで、本としてイマイチ。
しかし西郷隆盛という人は伝記の書きにくい人であることは確かなようだ。
明治政府の遣欧使節と西郷のやりとりの部分は良かった。それ以外はオススメマークは無し。

ネットワークはなぜつながるのか 第2版 知っておきたいTCP/IP、LAN、光ファイバの基礎知識
2008.2.8 / 計算機、ネットワーク、図解、TCP/IP、ルーター、負荷分散

ブラウザにURLを入力するところから始まって、ブラウザがHTTPのメッセージを作りTCP/IPに渡してパケットが作られ、LANアダプタで電気信号になりハブやルーターを通りインターネットに流れてゆく、というネットの階層構造を上から下へ辿る。
読み物として面白く、値段もお手頃で良い本。初心者向けということで説明もそこそこ丁寧。
ただしどの程度のレベルの読者を想定しているのか、少し曖昧な部分もある。全くの初心者には少し難しいところもあるし、ある程度の知識がある人には物足りないところもあるように思う。パソコンの操作には通じていて、インターネットの仕組みはおぼろげながら掴んでいる、という層に向くと言えるか。
繰り返すが初心者用で、詳しいアルゴリズムの解説などは無い。

日本防衛のあり方―イラクの教訓、北朝鮮の核
2008.2.7 / 軍事、情報、イラク、北朝鮮、エヴァ、民主主義と軍事、江畑謙介

2004年第一刷。この手の本は刊行から時間が経つと価値がなくなるように思われることが多いが、この本はさにあらず。軍事と情報、軍事及び国家と民主主義の取り扱いについて現代の日本がいかに対応するかを扱っていて、十年後でもその基本的概念は経年劣化しないと考える。
情報という概念をキーにしてこの本を一言で言うなら、「国家と国民が生き残るためには何をどう知りどう決断すべきか」というふうになろうか。
ちなみに、どうもフセインは米軍が本気で攻めてくるとは考えてなかったフシがあるね、という記述があるが実際に先月、フセインが全く同じことを拘束後供述していたことが明らかにされエヴァファンの驚くところとなった。
江畑氏の基本スタイルとして、軍事に疎い人でも無理無く読めるように書かれており非軍ヲタにもオススメ。というか、あまりベタベタな軍事の話題はありません。

大乗仏教概論
2008.2.6 / 宗教、大乗仏教、涅槃は遠いよね

鈴木大拙が大乗仏教を欧米へ紹介するために英文で記した書を日本語に訳しなおした「逆輸入本」。
まず最後の「訳者後記」から読んで、それから本文を読むべき。というのは、この本の大乗仏教の説明は大乗仏教そのものでなく鈴木大拙個人の思想のほうが色濃いということで、その点批評の目をあらかじめ持っておくべきだから。
とはいえ、内容は文句無しに面白い。涅槃や真如の総合的分析や、現代の日本人が仏教にあまり見出さない菩薩の積極的「愛」など宗教・哲学思想として得るものは大きい。
難点は値段。こんな面白い本がこんな高いなんて、岩波は腹を切って死ぬべきである。定価がもう2000円安かったらなぁ…ってオイ、中古市場でありえん値段がついてるな。欲しい人はamazonはあきらめて大型書店の在庫を探すほうがいいですね。

モンゴル紀行 街道を行く 5
2008.2.5 / 地理、歴史、モンゴル、司馬遼太郎、ウランバートルの大気は流体

数ある「街道を行く」シリーズの中でもFが一番好きな一冊です。
作家に必要なのは観察力と構成力と表現力だと思うのですが、さすが大家だけあってこの本はそれが肩肘はらず美しくまとまっています。
モンゴルの若者が馬に乗って逢瀬するシーンが好きです。

単位の進化 原始単位から原子単位へ
2008.2.4 / 科学、単位、アメリカ人はいい加減にメートル法を使え、講談社学術文庫

メートル、フィート、グラム、摂氏何度というような、私達の生活で普段意識することのない「単位」の歴史的エピソードを集めた本。
ドイツの面積単位「モルゲン」やメートル原器の成立までの紆余曲折など、読んでいて非常に楽しい本。
科学好きな人にオススメ、科学苦手な人にもオススメ。唯一欠点を挙げるなら、文章がやや冗長なこと。

ニーチェ
2008.2.3 / 哲学、ニーチェ、ロバさんはイ・アーと鳴きます、ちくま学芸文庫

薄いのでさっくり読めるかと思いきや、非常に難解だった。Fは中身はほとんど理解できませんでした。
かろうじて感覚をつかめたのは「登場人物」の章。これはニーチェの理解を助ける部分があり、楽しかった。
ニーチェってどんなのだろう☆とりあえずこの本を読んでとっかかりにしてみよう、みたいな用途には向かない本。読むとしたら、一通りニーチェを読んでからこちらに進んだほうが良いか。

補給戦―何が勝敗を決定するのか
2008.2.2 / 軍事、補給、けっきょく現地調達、名著、中公文庫BIBLIO

軍隊が移動し戦闘するためには糧食と弾薬を供給し続けなければならない。その「補給」に焦点をあてて16世紀からWWIIまでの戦争を分析した古典。2ch軍板必読書指定の名著。
読み進むほど「おいおいなんじゃそりゃ」と思ってしまうのだが、とにかくこの本は、遠い本国で予定通り物資が生産・集積されて効率的な補給機構により前線へ脈々と物資が届けられているはずという我々素人の想像をどの時代でも破壊してしまうのである。
そういった過去の戦争の実態と「補給」という概念(というか「補給の失敗の歴史」)を知るのに最適であるし、データを緻密に分析し論理的に話を進める文章のお手本としても優れている。
読め読め読め!

詩と真実 第一部
2008.2.1 / 文学、ゲーテ、自伝、グレートヒェンたん(;´Д`)ハァハァ、岩波文庫の赤

ゲーテの自叙伝。天才の早熟な幼少期、フランクフルトでの華麗な皇帝戴冠式、グレートヒェンとの出会いと急転直下の破局。
自伝としては不思議なかんじで、率直に言って「幻想的」だった。誰でも幼いときの記憶は幻想的なものだが、それを実際に美しく描き出すのは詩聖の面目躍如といったところか。
静かに読むのに適した本。美しい古典に触れたい人にオススメ。

ヒンドゥー教―インドの聖と俗
2008.1.31 / 宗教、ヒンズー教、インド、新書

ヒンズー教とインドの時空は巨大だ。本書はその巨大さをうまく切り刻んで把握しきれていない。
個々のエピソードは豊富で、特に著者の実体験が素直に記されているのが良い点。しかし浅く広くに止まるところが多く、本質へ深く切り込んだ記述が少ない。
ヒンズー教を知るためのとっかかりとして、まずインドの宗教生活の雰囲気から掴むには適しているか。読んで損はないが、オススメマークは付けられない。

ベルリン1919
2008.1.30 / 小説、ドイツ

ベルリン三部作の第一部。WWI終結直後、革命に揺れるベルリン、その貧民街に住む家族の苦しくも常に希望を見出そうとする生活を書く。
昔の貧しい人は本当に貧しかったんだなぁ、というのが第一の感想。そういやVicでも児童労働法がプロイセンで可決とかいうイベントがあったよな。
革命に混乱する民衆の描写の緊迫感が優れている。また「希望」の感覚が物語の全層を貫いているのも特徴的。そしてその感覚は第二部の『1933』では正反対に逆転してしまうのだ。
分厚いが読みやすい。時代背景の解説が付いており子供にも可。

若き将軍の朝鮮戦争 白善ヨップ回顧録
2008.1.29 / 軍事、朝鮮戦争、白将軍、「おれが先頭だ。もしも、おれが気後れを見せたら、後ろから撃ってくれ」

今年これまで読んだ本の中で一番面白かった!
韓国新陸軍の建設に参加し、ゼロから連隊を作るところから始まって、朝鮮戦争では韓国第一師団を率い激しい攻防を繰り返し、最後には参謀総長まで務めた白将軍の回顧録。
とにかく臨場感があり、冷静な語りに引き込まれる。人が死ぬ戦争の話に「面白い」というのも不謹慎ではあるが、読み物として非常に優れている。釜山円陣で崩れかかった部隊を取りまとめ突撃に打って出る場面(234ページ)は圧巻のドラマ。
朝鮮戦争そのものの前と後に配置された対ゲリラ戦の模様もとても興味深い。
言うまでもなく軍ヲタ必読、軍ヲタ以外にも強くおすすめできる。

失われた時を求めて(7) 第四編 ソドムとゴモラII
2008.1.28 / 文学、長編小説、なんつーか異常に長い、濃い、フランス、プルースト、ちくま文庫

こういう人に向く本です:
・物語は長ければ長いほど楽しい
・どんとこい外国文学、膨大な訳注嬉しいね
・描写の嵐を楽しむ性格だ
・人物関係が複雑で最高!
・ドレヒュス事件のレポートで単位を取った
とにかく濃密でこれでもかというほど繰り返される比喩と描写、いっこうに進まない物語、複雑すぎる人間関係、さっぱりわからないフランス上流階級の雰囲気…とっておきの宝石です。
ついにこれを出してしまったなぁ。全10巻なのでまずは1巻からどうぞ。

ローマはなぜ滅んだか
2008.1.28 / 歴史、古代ローマ

タイトルの核心に触れる部分が少ない。国家構造上の支配階級における腐敗、過度の奢侈といった話は例が豊富で読んでいて楽しいけれど。
帝国の発展と衰退を「大渦巻き」として捉える論が興味深いと感じられたが、掘り下げが浅い。
ローマ帝国好きな人がサクっと読む分には悪くないか。全体として物足りない。

善の研究
2008.1.28 / 哲学

近代日本初の本格的哲学書とされる。難解だが、注釈と解説がとても丁寧で、えっちらおっちら読むかんじ。
難しいんだけど、あえて主題をまとめるなら、自己と他との関係を徹底的に叩き詰める課程、そしてその「目的」である善の考察ということになろうか。
なんでもかんでも「純粋経験」「統一的或者」で話を進めるのはどうよと言う気もするが、思考の流れは力強く、言葉遊びも無い。
読了すれば数ミリ成長できる本。

海上護衛戦
2008.1.27 / 軍事、太平洋戦争、海軍、何が水上艦隊の栄光だ、石油、海軍の存在意義、学研M文庫

なぜ60年前の大日本帝国は太平洋戦争を始めたのか?この問題を考察するとしたら本一冊では足りませんが、一つには日本には石油が無かったからという事情があります。
近代国家として工業を拡大し、軍を維持するためには石油が不可欠です。この石油の多くを戦前の日本はアメリカから輸入していました。しかし満州の問題などでアメリカを怒らせてしまい、めでたく対日石油屑鉄の禁輸となり石油が入ってこなくなります。ジリ貧です。
となれば、鬼畜米英に対抗していくためになんとか自前で石油を確保しなくてはいけません。仏領や蘭領の東南アジアに油田があります。これを分捕って守りを固めれば良いという戦略。
事実、南方作戦で日本陸軍は見事石油を手に入れます。しかしだな、それをどうやって日本に持ち帰る?当然タンカーで輸送しますよね。そしてその航路は長いので、当然アメリカの潜水艦がタンカーを狙います。
…でもタンカーを潜水艦から守るってことを海軍の偉い人は考えてなかった、というお話。ヒデェよな。
海軍の存在意義とは何か、大日本帝国とは何か、日本人の考え方とはどういうものか、という点について深く考えさせられてしまう本です。全日本人必読。

書物としての新約聖書
2008.1.27 / 宗教、キリスト教、新約聖書

新約聖書とは何か?なぜ新訳聖書が作られたのか?どうやってまとめられた?各福音書成立と採用の経緯は?そして2000年前の編集作業にどうやって現代から近づくのか?
現代における数々の新約聖書はいかなる形であるのか、またどうあるべきか?などなど、新約聖書に関する分析をあらゆる方面から緻密に行った大著。
読み応えがあります。お値段も安くはないですが、価値ある本です。キリスト教に関心がある方は是非トライしてください。

物理学と神
2008.1.27 / 科学、物理学、科学哲学、新書

科学の発展と物理学からの人間の「神」観念の変化を「神の立場」としてさまざまな物理学のエピソードを駆使し概観する。
読み物としてはいろんな話があって面白いんだけども、科学哲学としての掘り下げはやや不満が残りました。話そのものは高校で物理学を一通りやっただけのFでも楽しめました。
新書なので量が足りないのはやむをえません。

猫楠―南方熊楠の生涯
2008.1.26 / 漫画、伝記、南方熊楠、とにかく変人、水木しげる

和歌山が生んだ異常の博識にして変人、南方熊楠の半生記。
彼が造り出す不思議な世界を、これまた不思議な世界の住人である水木しげるが描き出す。なんせ変人が変人のことを描くのですから、変人の二乗みたいな作品です。
晩年に天皇に講義を進上するシーンとか、発狂した息子に涙するシーンとか、変なだけじゃなくきちんとドラマを演出してくれています。
現代ではこういう人ってなかなかいませんよねぇ。なんでだろう。

霊操
2008.1.26 / 宗教、キリスト教、観想、修行、禅

初めてamazonに書影が無い本を紹介します。ルネサンス期ヨーロッパでキリスト教徒の修行方法、特に祈りに沈潜し神へ近づこうとする「霊操」についての一種のマニュアルです。
信仰とは何かというところまではわからないけれど、信仰を深める、それもかなり究極的な意味で行うということについて教えてくれます。
Fはキリスト教徒ではありませんから、神への愛を霊動によって感じ取るとか言われてもそこらへんはピンと来ません。しかし趣味で禅をしているので、ところどころ参考になる部分がありました。
マニアックな本であることは確かです。キリスト教に興味がある人、そして禅に興味がある人には良いかも。『十牛図』はなんのこっちゃわからんしね。

キリスト教史(1)
2008.1.26 / 宗教、キリスト教、平凡社ライブラリー

1巻は初期教会、コンスタンティヌス大帝による国教化の直前まで。
受難から使徒達による布教、ヘレニズム・キリスト教とユダヤ・キリスト教との衝突、ローマでの扱い、グノーシス主義、その他数々の派生を扱う。
ヘレニズムとユダヤ地域という二つのキリスト教の違いや、ユダヤ人にとってキリスト教とはいかなるものであったのかという問題が面白い。グノーシス主義についてはあまり深く掘り下げられない。
不満は、キリスト教以前のローマ神話宗教を「異教」としてひとくくりにしていることで、キリスト教がローマ帝国に広まる上で「異教」とどうぶつかり相互に影響していったのかという点についての考察がほとんど無い。まぁカトリックの中の人が書いてることだしね。
1冊でもけっこうなボリュームだが、これ11巻まであります。覚悟はいいか?俺はできてる(本棚の占有体積という点ではファーブル昆虫記よりはマシか)。

金枝篇〈上〉
2008.1.26 / 宗教、社会人類学、ちくま学芸文庫

祭司が剣を持って人を探している。彼は誰を探しているのか?彼は殺されるのだ。なぜ殺される?誰に殺される?
この小さな場面から始まって、この謎を解くために世界中の宗教的風習を網羅し、その根底に潜む人類共通の考え方を見つけ出す。
量があるものの、はまればとても面白い本です。眺めるだけだと疲れるけど。個人的に、この本をきっかけにさまざまな本を読むようになった思い出深い本です。

あるヒステリー分析の断片―ドーラの症例
2008.1.26 / 心理学、ヒステリー、フロイト、ちくま学芸文庫

18歳のドーラさん、彼女の頻発するヒステリーをフロイト先生がたちどころに治す…前に話は終わる。ドーラの複雑な家族・交友環境と過去の事件を解きほぐしていくさまはお見事。
本としてはボリューム的にちょっと物足りないかな、というかんじ。読むならまず『ヒステリー研究』『精神分析学入門』のほうが良いかなぁと思います。
心理学は「他人の心がたちどころに分かる!」みたいなアンチョコ本よりもやっぱり先人の古典に触れたほうが良いと思うのです。

オスとメス 性の不思議
2008.1.26 / 科学、生物学、性、新書

なぜ二つの個体による「生殖」があるのか?なぜオスとメスがあるのか?たいていの場合オス同士がメスをめぐって争うのはなぜか?そして人間にとってのオスとメス、社会構造上の男と女の仕組みは生物学から見てどのようになっているのか?
などなど、普段あまり意識しない問題をサクサク解明。高校で生物ほとんど取らなかったFでもよく理解できるぐらい平易に説明してありました。理系にも文系にもオススメマークです。

老子
2008.1.25 / 哲学、老子、講談社学術文庫

大好きな本の一つです。あっちこっちマーカーで線引きながらもう10回ぐらい読みました。薄いのでさくっと読みやすいんです。
でもこれどうやって紹介したもんですかね?「老子とはこういうものである」なんて書けんよ私は。
万物の根源は道である、とか…いやちょっと違うよなそれだけだと。月並みな言い方ですけれど、読むたびに発見があります。そしてキリスト教のようになんとなく押し付けがましいところがない。心にすっと入り込んできます。
読んでない人にはどうにも説明できないから、とにかく読んでくれ(←書評サイトで書評をあきらめる人)。中身は現代語訳で解説も豊富、読みやすいよ。

クジラとイルカの心理学
2008.1.25 / ジャンル:クジラ、心理学

面白い本ばかり紹介するのもなんなので、失敗した例を。
クジラやイルカが好きでも、心理学が好きでも、この本を買ってはいけません。電波です。
最終的には、人間は海に帰って人間より高等なクジラに追いつかねばならぬとか言い出してゆんゆんです。パルプの無駄。

常用字解
2008.1.25 / ジャンル:字典、漢字、白川静

面白い辞書と面白くない辞書がありますわな。これはけっこう面白い。
この漢字は結局もともとどういう意味なんだ?なんでこの漢字がこの熟語で使われてるんだ?ちょこっと日本語に敏感になって、こういう疑問を持ち始めたらなんでも答えてくれる本です。
漢字って覚えるのも書くのも読むのも大変だけれど、やっぱりかけがえのない文化だと思うのです。

版画 のはらうた
2008.1.25 / ジャンル:詩、版画

暖かい詩と、暖かい版画。
「のはらのみんな」の小さな詩集。
うちにある本は保手浜孝さんのサイン入りです。いいだろー!

磁力と重力の発見(1)
2008.1.25 / ジャンル:科学史、物理学、歴史

磁石が反発したり引き合ったりする。下敷きで髪が浮く。リンゴが地球に落ちていく。私達現代人にはどれも当たり前で、磁力、静電気、引力によるものだと知っています。
けれども、西洋の哲学者たちにとってはそれはさっぱりわからないことで、そもそも遠隔力というものが存在することを次第に発見しなければならなかった。その過程を綿密に、物理に疎い人でも問題無いよう解き明かします。
1巻は古代・中世を扱い、プラトンやアウグスティヌス、トマス・アクィナスなどが登場します。単なる物理学の話とは思えない登場人物ですね。
理系、歴史好きにオススメ。著者は有名な方だそうですが、いかんせん世代が違うのでよくわかりませぬ。

プログラミングPerl〈VOLUME1〉
2008.1.25 / ジャンル:計算機、プログラミング、Perl、ラクダ本

Perlを見ずに死ぬな(死ぬならPerlと一蓮托生かと聞かれたらちょっと困るけど…)。
そのPerlのバイブル、通称ラクダ本です。読み物としてもよくできています。
けれど、新版になって二巻本になってしまったのは問題だなぁ、と。机に置いてばさばさっとできないじゃないですか。書いた人も悩んだでしょうけどね。

臨死体験(上)
2008.1.25 / ジャンル:科学、非科学、臨死体験、立花隆

ちょっとでもオカルトの臭いのする話は大嫌いだ、厳密な自然科学の話しか認めない、という人は読めないだろう。しかし大部分の人は、多少はそういう話を考える余地があってもいいよね、と思うはず。ならばこの本にも手を出してみるべきです。
人間の脳は、私達が意識できる範囲のほかに膨大な可能性を持っているのだなぁ、というのがFの感想です。テレビでやってるような「スピリチュアル」ナントカな話は嫌いですけどね。なんだか屈折してるようですが、この本は面白いですよ。

ブッダの 真理のことば 感興のことば
2008.1.25 / ジャンル:宗教、仏教、岩波文庫の青

ブッダの言葉とされる短い詩句集。シンプルで重い。当たり前のことを言っているようで鋭い。
特に「善悪のはからいを捨てて」というあたりが難しく面白い。ニルヴァーナは単に「良い人」が行ける場所ではないようだ。
信仰がある人にとって、ニルヴァーナに到るなら生も死もなく、それらを越えたやすらぎだけがある。生も死もないだって?そう言うと不思議だが、私達が普段当たり前としている生と死も冷たく問い直されねばならない。

道具と機械の本
2008.1.25 / ジャンル:道具と機械(←そのままやな)、図解、子供向け、マンモス

これはめーっちゃめちゃ面白いよ!ジャンルでは子供向けって書いたけど大人が読んでももちろん面白い楽しい。理科に強い人弱い人どちらもOK。
ヘリコプターの原理とか、製紙工場とか、ファスナーとか、電圧の水車とか、核分裂とか、書ききれねぇ!
子供のころにこれ読んだ経験は財産だよなぁ。

じょうぶな頭とかしこい体になるために
2008.1.25 / ジャンル:これはジャンルはなんだろう…?あえて哲学でしょうか

副題は「五味太郎VS.子どもの疑問・悩み・希望」となっており、いちおう子供向けの体裁を取っていますが大人でも面白い。
「ぼく 外国人になりたい」「先生ってなに…」「結婚したいの」「SEXしたい」「名前を変えたい!」「お金がほしい」などなど、子供の素朴な疑問にあくまで大人からの理屈で答えます。
このあくまで理屈というのがこの本のミソで、とにかくこうなんだとか、子供向けの言い訳でなくて、できるかぎり誠実に大人の立場の理屈を組み立てるんですね。
だからこの本を子供が読んだら、半分納得して半分釈然としない顔をするでしょう。というか子供のころに読んだFがそうでした。
ちょっと理屈っぽい子供に読ませてみるのも良いし、理屈に弱い大人が読むのも良し。ただし分量の関係上、徹底的に問題を掘り下げ解明するというタイプの本ではありません。

うるさい日本の私
2008.1.25 / ジャンル:放送、騒音、日本人

駅のホームで、デパートのエスカレーターで、夏の海岸で、とにかく各種の「ご注意放送」が多すぎる。そして毎回ブチギレする著者。
日本がこんなにも「親切すぎてウルサイ」国であることは、意識しないとなかなか気付きません。
そしてこの本を読むとそれに気付いてしまい、意識してしまい、駅のホームが耐えられなくなります。
この過剰な親切さの裏には日本人の社会構造上いかなる問題があるのか?私達はこの面にも踏み込むことになるでしょう。

ファウスト〈第一部〉
2008.1.25 / ジャンル:文学、伝説、ゲーテ

私達はこの書の全てを理解できるでしょうか。無理です。
ならば私達はこの書から何も得ないのでしょうか。それもまた間違いです。
人間の魂の奥深くまで掘り下げた書物には、こちらから深みへ「近づいていく」努力が必要です。その「降下」の努力に応じて何かを得ることができます。
字は細かいし量もそれなりにあるけど、読破不可能なんじゃこれって雰囲気ではありませぬ。自身の心に高みをより積み、深みをより掘り下げるためには最良の書。
ただし推理小説みたいにサクサク読めてワクワク楽しいなーみたいな、そういう雰囲気でも無いです正直なところ。

パンツァータクティク―WW2ドイツ軍戦車部隊戦術マニュアル
2008.1.24 / ジャンル:軍事、WWII、ドイツ、戦車

押し寄せる赤軍将兵の波、怒濤のT-34をいかに食い止め撃破する?戦車で進軍するときは小隊はどんな陣形で進む?敵に遭遇したらどの角度でどのタイミングで攻撃する?そういった、普通の史書ではなかなか読み取れない「戦闘の現実」を堪能することができます。
そういうことを知って何か意味があるのかとか…そういうツッコミは無しにしましょうよ。
文句なしの良書なのですが、残念なことに現在絶版です。amazonの中古市場ではかなり値段が上がっています。入手しにくい本であることを知らないまま、Fは店頭で定価で買えてしまいました。妙なところで運を使い果たしている気がします。古書店でも新品でも、手に入る値段で置いてあればTouch and Buyしましょう!

Ubuntu 徹底入門 The Official Ubuntu Book 日本語版
2008.1.24 / ジャンル:計算機、OS、Linux、Ubuntu

もしあなたがパソコンを買い換えて、新しいそれに搭載されたOSがWindowsXPとかVistaだったとする。Windowsの操作にも慣れてきて、少し新しいことを試してみたいなら古いほうのパソコンにはLinuxを入れることを考えるべきだ。そしてLinuxのディストリビュージョンに迷うなら、Ubuntuを試してみるべきだ。
インストールはいやホント簡単ですよ。パーティション切ってデュアルブートとかしないなら、クリック一つでセットアップしてくれます。Debian入れかけて挫折した5年前が嘘のようだ…。
いやいや新しい方のパソコンにもLinuxとな?その覚悟にも大いに賛成。唯一の問題はCiv4をどうするかということだけだ。