一日一冊:軍事
汝平和を欲すればまず戦争に備えよ。

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PANZERTALES WORLD TANK MUSEUM illustrated―ワールドタンクミュージアム図鑑
2008.3.4 / 軍事、戦車、WTM、「こうなるともう何がなんだかわからない」

最近残念ながらあまり見ないのだけど、ワールドタンクミュージアム(WTM)という食玩が一時期流行りました。ちっこいちっこい戦車のコレクションができるのです。
戦車そのものの出来もさることながら、説明書きがコミカルかつ正確で非常に面白かった。この本はその説明書きを一冊にまとめたもの。
軍ヲタなら必ずニヤニヤできるようなウィットに富んでいる。戦車や戦場に興味の無い人には…どうだろう、それなりに面白いだろうけれど魅力は半減しちゃうよね。やっぱり戦車好きに読んで欲しい一冊。

攻防900日〈上〉―包囲されたレニングラード
2008.2.28 / 歴史、軍事、レニングラード包囲、小麦粉が無い、パンをこねる水が無い!

大戦でナチスドイツはソビエトに攻め込みます。モスクワ、レニングラード、スターリングラードの主要三都市めがけて驀進するわけですが、後一歩のところで赤軍が押しとどめます。しかしレニングラードはついにドイツ軍に包囲されてしまします。本土との連絡はラドガ湖のみ。
ここから包囲をしのぐためのギリギリの戦いが始まるわけで、その展開はWWIIにおける第一級のドラマです。ギリギリもギリギリ、底についてもさらに底を掘れ、というかんじのギリギリ。その限界を超えた限界の描写で埋め尽くされ、ロシア人ってすごいなぁと思ってしまいます。
食料の配給がじりじり削られていくのが読んでいて辛い。すごくオススメ。

リデルハートとリベラルな戦争観
2008.2.17 / 軍事、戦略論、リデルハート、機甲戦術、イギリスの戦い方、間接的アプローチ

軍ヲタならみんな知ってる、非軍ヲタにはピンと来ないリデルハートさん。20世紀最大の戦略家と呼ばれる彼の著作と戦争観をやや批判的に読み解く。
間接的アプローチやビザンツ式戦略といったリデルハートの(どうにもブレる)戦略論を、彼のWWIの経験とクラウゼヴィッツの影響から分析するのが主な内容で、丁寧に読み込んでいる。
クラウゼヴィッツやジョミニ、WWIについての基礎知識を必要とするが、非軍ヲタにもオススメ。値段もお手頃。

機関銃の社会史
2008.2.16 / 軍事、歴史、機関銃、WWI、二乗して二倍してさらに二倍せよ、平凡社ライブラリー

「機関銃」を軸に、人間が時代の変化にどう対応したか、というか実際はなかなか対応できなかったことを書き出す。
機関銃の売り込み、植民地拡大の立役者、WWIにおけるイギリス軍首脳の信じられない無能さ、そしてトンプソンとギャング。
過剰な人間中心主義から機械への考え方の移行という捉え方は的確であると思う。濃い内容を短くまとめてあり、オススメ。

第三帝国の神殿にて〈上〉ナチス軍需相の証言
2008.2.12 / 軍事、歴史、ナチス、装甲車両が足りねぇYO!、中公文庫BIBLIO

ナチスドイツに「党・国家デザインプロデューサー」として登用され、最後は軍需相として手腕を発揮した建築家アルベルト・シュペーアの回顧録。
戦争なんて政治家と官僚のやることだ、そしてそいつらは「文系」だ、俺たち理系・技術者には関係無いね、という理系にありがちな「逃げ」を打ち砕く書。特に巻末のフレーズが冷たくてイイ。
軍需相としてのドイツの台所事情の記述も面白い。オススメです。

日本防衛のあり方―イラクの教訓、北朝鮮の核
2008.2.7 / 軍事、情報、イラク、北朝鮮、エヴァ、民主主義と軍事、江畑謙介

2004年第一刷。この手の本は刊行から時間が経つと価値がなくなるように思われることが多いが、この本はさにあらず。軍事と情報、軍事及び国家と民主主義の取り扱いについて現代の日本がいかに対応するかを扱っていて、十年後でもその基本的概念は経年劣化しないと考える。
情報という概念をキーにしてこの本を一言で言うなら、「国家と国民が生き残るためには何をどう知りどう決断すべきか」というふうになろうか。
ちなみに、どうもフセインは米軍が本気で攻めてくるとは考えてなかったフシがあるね、という記述があるが実際に先月、フセインが全く同じことを拘束後供述していたことが明らかにされエヴァファンの驚くところとなった。
江畑氏の基本スタイルとして、軍事に疎い人でも無理無く読めるように書かれており非軍ヲタにもオススメ。というか、あまりベタベタな軍事の話題はありません。

補給戦―何が勝敗を決定するのか
2008.2.2 / 軍事、補給、けっきょく現地調達、名著、中公文庫BIBLIO

軍隊が移動し戦闘するためには糧食と弾薬を供給し続けなければならない。その「補給」に焦点をあてて16世紀からWWIIまでの戦争を分析した古典。2ch軍板必読書指定の名著。
読み進むほど「おいおいなんじゃそりゃ」と思ってしまうのだが、とにかくこの本は、遠い本国で予定通り物資が生産・集積されて効率的な補給機構により前線へ脈々と物資が届けられているはずという我々素人の想像をどの時代でも破壊してしまうのである。
そういった過去の戦争の実態と「補給」という概念(というか「補給の失敗の歴史」)を知るのに最適であるし、データを緻密に分析し論理的に話を進める文章のお手本としても優れている。
読め読め読め!

若き将軍の朝鮮戦争 白善ヨップ回顧録
2008.1.29 / 軍事、朝鮮戦争、白将軍、「おれが先頭だ。もしも、おれが気後れを見せたら、後ろから撃ってくれ」

今年これまで読んだ本の中で一番面白かった!
韓国新陸軍の建設に参加し、ゼロから連隊を作るところから始まって、朝鮮戦争では韓国第一師団を率い激しい攻防を繰り返し、最後には参謀総長まで務めた白将軍の回顧録。
とにかく臨場感があり、冷静な語りに引き込まれる。人が死ぬ戦争の話に「面白い」というのも不謹慎ではあるが、読み物として非常に優れている。釜山円陣で崩れかかった部隊を取りまとめ突撃に打って出る場面(234ページ)は圧巻のドラマ。
朝鮮戦争そのものの前と後に配置された対ゲリラ戦の模様もとても興味深い。
言うまでもなく軍ヲタ必読、軍ヲタ以外にも強くおすすめできる。

海上護衛戦
2008.1.27 / 軍事、太平洋戦争、海軍、何が水上艦隊の栄光だ、石油、海軍の存在意義、学研M文庫

なぜ60年前の大日本帝国は太平洋戦争を始めたのか?この問題を考察するとしたら本一冊では足りませんが、一つには日本には石油が無かったからという事情があります。
近代国家として工業を拡大し、軍を維持するためには石油が不可欠です。この石油の多くを戦前の日本はアメリカから輸入していました。しかし満州の問題などでアメリカを怒らせてしまい、めでたく対日石油屑鉄の禁輸となり石油が入ってこなくなります。ジリ貧です。
となれば、鬼畜米英に対抗していくためになんとか自前で石油を確保しなくてはいけません。仏領や蘭領の東南アジアに油田があります。これを分捕って守りを固めれば良いという戦略。
事実、南方作戦で日本陸軍は見事石油を手に入れます。しかしだな、それをどうやって日本に持ち帰る?当然タンカーで輸送しますよね。そしてその航路は長いので、当然アメリカの潜水艦がタンカーを狙います。
…でもタンカーを潜水艦から守るってことを海軍の偉い人は考えてなかった、というお話。ヒデェよな。
海軍の存在意義とは何か、大日本帝国とは何か、日本人の考え方とはどういうものか、という点について深く考えさせられてしまう本です。全日本人必読。

パンツァータクティク―WW2ドイツ軍戦車部隊戦術マニュアル
2008.1.24 / ジャンル:軍事、WWII、ドイツ、戦車

押し寄せる赤軍将兵の波、怒濤のT-34をいかに食い止め撃破する?戦車で進軍するときは小隊はどんな陣形で進む?敵に遭遇したらどの角度でどのタイミングで攻撃する?そういった、普通の史書ではなかなか読み取れない「戦闘の現実」を堪能することができます。
そういうことを知って何か意味があるのかとか…そういうツッコミは無しにしましょうよ。
文句なしの良書なのですが、残念なことに現在絶版です。amazonの中古市場ではかなり値段が上がっています。入手しにくい本であることを知らないまま、Fは店頭で定価で買えてしまいました。妙なところで運を使い果たしている気がします。古書店でも新品でも、手に入る値段で置いてあればTouch and Buyしましょう!